店頭で里親を待つデバイスたちを保護して復活させるシリーズ。今回は、富士通のFMV LIFEBOOK A561/Dを保護し、改造した。
筆者は中古品店を巡り、そのままでは動かないものの、(はんだごてまでは使わなくてもいい程度の)メンテナンスをすれば復活させられそうな「マイルドジャンク品」を買って、復活させる活動をしている。これを「保護猫活動」になぞらえて「保護デバイス活動」と呼んでいる。
2011年発売の、プロセッサはCeleron、メモリは4GB、ストレージはHDDという「低スペック3点セット」のPCである。Windows 11は動かないって分かってるけど、それでも増強するのだ。
今回のターゲット
今回取り上げるのは、2011年発売の、富士通の法人向けノートパソコン「FMV LIFEBOOK A561/D(FMVNA5SE)。
CPUはCeleron B710(シングルコア)、メモリは4GB、ストレージはHDDという、「低スペック3点セット」のPCだ。
さらに、無線LANなし、カメラなし、SDカードスロットなし、HDMI出力なし、USB 3.0なし、一方で、画面解像度は1,366×768ドット、VGA出力あり、イヤホンとマイク端子が別々、PCカードスロットあり、光学ドライブあり、無線LANのON/OFFスイッチあり(無線LANはないのに)、という典型的な旧スペックである。
メモリを増設(仕様以上に)
この機種は、公式には最大搭載メモリ容量が8GBまでとなっているが、そんなことは気にせず、16GB(8GB×2)をぶち込んでみる。
ストレージをHDDからSSDに換装
この機種のストレージは、2.5インチSATAのHDDなので、これを2.5インチSATAのSSDに換装する。
ここまでは、本体底面にある、小さな蓋を開けるだけで分解することなく実施できる。無駄改造はここからだ。
CPUを交換
ノートパソコンのCPUは、後に「U」タイプ(マザーボードに直接はんだ付けされている)が増えていくが、この当時は交換可能なCPUが使われているものも多かった。この機種もCPUはソケット(PGA988)に装着されているので、交換可能だ。
互換性があるCPUの中でなるべく上位のものを、ということで、今回は、Core i7-2860QM(4コア、8スレッド)を入手し、取り付けた。
無線LANに対応させる
この機種は、無線LANを搭載していないのに、無線LANのON/OFFスイッチは付いていることから、中を見てみると、無線LANカード用と思われるMini PCI-Expressスロットが付いている。
しかし、筐体内を見回しても、無線LANカードに接続するアンテナケーブルが見当たらない。そこで、同じ機種の画面側だけ(無線LANアンテナ付き)を入手し、画面側を丸ごと交換した。
光学ドライブをBlu-rayドライブに換装
先ほど、光学ドライブを搭載していることを「旧スペック」と言っておきながらアレだが、ここまできたら増強できるものは全部する、ということで、光学ドライブもDVDからBlu-rayドライブに交換した。
成果確認
電源を投入してから、Windows 10が起動するまで(デスクトップ画面が表示されるまで)の時間は、最初の構成では、1分以上かかっていたのに対して、改造後は約25秒に短縮された。
CINEBENCH R23のスコアは、263(Celeron B710はシングルコアのため、値は1つのみ)から、マルチコア:1,894、シングルコア:611になった。
また、ドラゴンクエストXベンチマークのスコアは、最も低い設定で1,504(重い)から、4,683(普通)になった。
無線LANも使用できるようになり、Blu-rayドライブも認識された。
まとめ
いくら改造したところで、CPUの世代が古い(CPUの交換は同じ世代間でしか行えない)ため、Windows 11は動かないのであるが、このくらい増強しておけば、UbuntuなどのLinuxはそこそこ動くのではないだろうか。
動画
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