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LGのBDプレーヤBD370レビュー

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(2009.6.13)

LGエレクトロニクス製のBlu-ray Discプレーヤ「BD370」のレビュー。

とにかく低価格

BD370はLGエレクトロニクス・ジャパンが日本市場向けに投入するBlu-ray Discプレーヤの1号機だ。価格はオープンプライスで、発売当初の予想価格は約35,000円だったが、実際には店によっては20,000円を切る価格で販売されている。しかし、コンポーネント端子(RCA端子)に加えてD端子も搭載しており、単に画面表示を日本語にしただけではなく日本市場向けに開発されていることをうかがわせる。

起動は早い

ホームメニュー

[写真]ホームメニュー

BDレコーダーでは起動とディスクの認識に数十秒以上かかるものも珍しくないが、本機は電源を投入してからBDAVのタイトルメニューが出るまでで20秒弱だった。これはPlayStation3と比べても互角といえる。

全端子から同時出力

本機はHDMI端子のほか、コンポーネント端子、D端子、コンポジット端子が搭載されている。レコーダーなどでは複数の端子が搭載されていても、例えばHDMIとコンポーネントは排他出力になっていることも多いが、本機ではこれらのすべての端子から同時に映像が出力される。このため、どの端子から映像を出力するかの設定はない。D端子はD5(1080p)出力まで対応している。なお、S端子は搭載されていない。

設定は最小限

設定画面

[写真]設定画面

本機には明るさや色合いといった画質に関する設定がなく、接続しているモニターの種類や出力解像度などを指定するだけとなっている。設定を追い込みたい上級ユーザーには物足りないが、何も設定しなくていい、ということが本機のメリットとなっている。画質の設定はモニター側で行うべき、ということなのだろう。また、言語に関する設定もいくつかあるが、工場出荷時はこれらのうち「ディスクメニュー言語」「ディスク音声言語」は「日本語」ではなく「オリジナル」に設定されているため、必要に応じて設定する必要がある。また、表示の「縦横比」の設定も標準では「16:9ワイド」になっているが、16:9のモニターを接続していても4:3の映像を再生することがある場合は「縦横比(16:9)」に指定しておく必要がある。

10分間操作しないと電源オフ

本機では5分間操作しないとスクリーンセーバー画面になり、さらに5分間操作しないと電源がオフになってしまう。スクリーンセーバーの有効/無効や、時間の設定はできない。これはユーザーによって設定できるようにしてほしかった。また、本機は再生停止後、直前の再生位置から再生を再開するレジューム機能を搭載しているが、これも一度電源がオフになるとリセットされてしまう。前述のとおり、本機は10分間操作が操作がないと電源が切れてしまうため、レジューム機能は再生停止後10分間しか効かないことになる。これでは事実上レジューム機能がないも同然だ。

日本向け対応に難あり

日本語が文字化けしている

[写真]日本語が文字化けしている

本機はパッケージソフトで使用されるBDMVだけでなく、レコーダーで使用されるBDAVにも対応している。しかし、レコーダーでデジタル放送を録画したBDAVディスクを読み込ませたところ、タイトルメニューに表示される番組名の日本語部分が文字化けしてしまう。(このことは製品に同梱の印刷物にも書かれている)(※1) また、録画中に放送局からの送出解像度が切り替わっていた場合、つまり1つのトラックに複数の解像度のストリームが存在している場合、再生がその場所に差し掛かると再生が停止して操作を受け付けなくなり、しばらくして電源が落ちてしまう(※2)。また、リモコンに字幕ボタンはあるものの、デジタル放送の字幕には対応していないようだ。本機はインターネット接続機能を持ち、ファームウェアの更新もできるようになっているのでファームウェアの改善を期待したい。

※1 【2009.12.19追記】シャープ機でフォーマット・録画したディスクで起こり、パナソニック機でフォーマット・録画したディスクでは起こらないようだ。
※2 【2009.8.4追記】ファームウェアをV7.137.00.26以上にするとこの現象は起こらなくなる。
ダウンロードは、
http://jp.lge.com/support/announce.do?action=read&group_code=SPRT_MENU&list_code=ANNOUNCE_MENU&seq=6112&page=1&target=announce_read.jsp

【他機種との比較】
同じディスクを、録画に使用したシャープBD-HDW15で読み込ませた場合の表示
同じディスクを、録画に使用したシャープBD-HDW15で読み込ませた場合の表示。

PlayStation3での表示
PlayStation3での表示。「字」のマークが「_」に変化している。 「新」や「二」でも同様だった。(※2)

※2 【2009.8.8追記】システムソフトウェアをバージョン2.80以上にすると「字」や「新」や「二」が正しく表示されるようになる。

リモコンは安っぽい

BD370のリモコン

[写真]BD370のリモコン。(左)通常の状態。(右)ふたを開けた状態。

本機にもリモコンが付属するが、国内メーカーのものと比べると安っぽい印象を受ける。特にリモコン下部はスライド式のふたになっており、スライドさせるとテンキーなどが現れるがこのふたがかなり開けにくい。また、本体側の受光部の視野角もかなり狭いようで、ほぼ真正面から操作しないと受け付けられない。ただし、これはシャープのレコーダーなどにも言えることで、これらの製品は基本的にテレビの真下(ないしは真上)に設置されることを前提に設計されているのだろう。PlayStation3のBluetoothリモコン(操作可能範囲内にあれば本体の方に向けていなくても操作できる)に慣れると、これらの視野角の狭い赤外線リモコンはストレスがたまる。

メディアプレーヤ的製品とみるべき

YouTubeにアクセスしたときの画面

[写真]YouTubeにアクセスしたときの画面

本機は家庭向けBDプレーヤという位置づけで市場に投入されているため、ソニーやパナソニックなどの国内メーカーのBDプレーヤと比較されることになるが、初号機ということもありまだまだ家電製品としてはこなれていないと感じる。しかし、本機はYouTube視聴機能を搭載していたり、映像ファイルを書き込んだだけでオーサリングしていないディスクでも認識してファイルを再生できる(しかも、このときは日本語のファイル名も文字化けしない)など、家電というよりもむしろ、バッファローのLinkTheaterやアイ・オー・データのAVeL Link Player、DIGITAL COWBOYのMOVIE COWBOYシリーズなどのメディアプレーヤと競合する製品と言えるのではないだろうか。そう考えると本機は本体の質感もいいし、リモコンの安っぽさもあまり気にならなくなる。

YouTubeの検索画面

[写真]YouTubeの検索画面

YouTubeの視聴画面

[写真]YouTubeの視聴画面

 

まとめ

DVD時代と比べ、BDになってから参入メーカーも減少し、それに加えて日本市場の縮小もあって、あえて日本市場に参入してくるメーカーが増えづらい状況の中で、新たにLGが参入してきたことは歓迎したい。本機もまだ洗練されていない部分もあるが、日本メーカーが高機能・高価格路線から離れられないのに対して、シンプル・低価格な製品が支持されるのが今日の世界的な流れであり、本機やそれに続く製品が日本市場で受け入れられるかどうか、注目していきたい。

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