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【動画あり】中華レシートプリンターを使ってみた

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最近の物価上昇でラベルライター/プリンター用のテープカートリッジも高くなったと感じたのをきっかけに、ラベルライター/ラベルプリンターを物色していたはずが、気づいたら、中華製レシートプリンターを買っていたという話。

物価上昇、そして中華製品の台頭

筆者は、購入したものに購入日と購入先を記載したラベルを貼るようにしていて、ラベルの作成にはキングジムのテプラシリーズを使っている。この分野では国内では、長らくこのキングジムと、ブラザー工業(P-touchシリーズ)、カシオ計算機(ネームランドシリーズ)の3社がシェアを分け合っている。

この3社は競合しつつも、ブラザーが工場や倉庫業向けなどやや産業寄り、カシオが家庭寄り、キングジムはその中間でオフィス向け、という棲み分けもあるようだ。

最近の物価上昇で消耗品である専用テープカートリッジも値上がりしていて、高いと感じたのをきっかけにAmazonなどに目を向けてみると、他の多くの分野の製品と同様、中華ブランド製品があふれている。その中でも、NIIMBOT/JADENS、Phomemo、MakeID、MUNBYNあたりが有力ブランドのようだ。

NIIMBOTの製品は、専用の用紙を必要とし、それらは、あらかじめ決まったサイズにカットされたもののみで、不定長(長尺)のテープは存在しないようだ。専用の用紙を要するだけあって、ネット上のレビュー記事などを見ると、カット位置を認識して自動で用紙送りをしてくれるらしい。そのぶん、用紙の価格は他と比べてやや高めという。

Phomemoには、カット済みのテープにくわえて長尺のテープもあり、MakeIDはネームランドに近い路線なのか、幅が細い長尺テープが中心のようだ。いずれも、それぞれ専用のテープを使う必要がある(純正品の他に互換品も存在する)。

国内のラベルプリンターの場合、テープカートリッジは長尺が基本で、筆者もそれに慣れていて、普段は長さ(=文字数)を気にせずにラベルを印刷しているので、カット済みのラベルは使いづらく感じる。

また、どの製品も、日本製品にはない個性的な筐体デザイン、Bluetooth対応、USB Type-C端子搭載、スマホアプリからの印刷に対応等々、なかなかに「攻めた」仕様にはなっているものの、本体も消耗品も日本国内では事実上Amazonでしか入手できない、というのがネック(安定供給に対する不安材料)になって手が出しづらい。

…などと考えて、「長尺の汎用用紙が使えるもの」を探してみたら、レシート印刷向けのプリンター(MUNBYNなどはこちらが中心のようだ)を見つけた。

レシートプリンターの世界には、「幅58mm」と「幅80mm」という標準規格があるようで、用紙(感熱ロール紙)は、特定の機種専用ではなく汎用品として売られている。国内の量販店や通販でも簡単かつ安価に入手できる。

レシートプリンターは国内では、スター精密、セイコーインスツル(SII)、エプソンなど(SIIとエプソンは同根企業だが)がシェアを持つが、これらのメーカーの製品はAmazonでも据え置き型で4~7万円くらい、モバイル型でも2~3万円くらいはする。それに対して、中華製品はAmazonで数千円台からあり、高いものでも2万円くらいで買える。

とはいえ、こういう業務用の機器は、購入後の消耗品費用や保守費用などを含めたトータルコストで考えるべきもので、本体の安さだけを比較することには本来あまり意味がないのだが、それでもここまで値段が違うとなると、もうこれでいいんじゃないかとも思えてくる。

本来、個人が買う製品ではない。だが、買う。

そして、それらの中でもひときわ安く、筐体デザインもスッキリしたものを見つけた。

ミニ サーマル プリンター Bluetoothレシートプリンター 58mmサーマルプリンター ポータブル プリンター 感熱プリンター ミニプリター 小型 コンパクト 鮮明な印刷 小売印刷
Jeffergarden
【簡単なセットアップと便利な使用方法】この感熱式レシートプリンタは、炭リボンやインクを必要とせず、熱式印刷用紙を取り付けるだけで簡単に印刷が可能です。さらに、統合された切断機能により、スムーズかつきれいに切り離すことができ、作業効率を大幅に向上させます。初心者でもすぐに使える便利さが魅力です。

ノーブランドのもので、商品名もないが、見た目はP-TOUCH CUBEや、テプラPRO SR-MK1を思わせるデザインだ。価格は日によって変動があるようだが、筆者は5,712円(税込)で購入した。

キングジム(Kingjim) ラベルプリンター スマホ専用 「テプラ」PRO MARK SR-MK1 ベージュ (対応ラベル幅:4-24mm幅)
キングジム(Kingjim)
【テプラPROテープカートリッジ】4・6・9・12・18・24㎜、【ヘッド構成】サーマルヘッド(360dpi、256dot)熱転写PRO印刷方式

出荷元がAmazonではないので、納期は遅いだろうと思っていたが、実際には注文の2日後に届いた。

銘板に書かれている型番で調べたところ、中国で2017年に創業したSnrotekという会社の「POS-5890A」という製品らしい。

このプリンターは幅58mmのロール紙に対応しているが、外径(太さ)は5cmまでのものしかセットできない。筆者はよく確認せずに外径8cmのロール(しかも、お徳用)を買ってしまったので、ロール紙の半分くらいを巻き取って、4cmくらいのロール2つに分けて使っている。

USB Type-Bの端子がついており、これでPCを接続する。ほかに、電話線のような端子もあるが、これはキャッシュドロワーを接続するためのものらしい。また、電源はUSBから取るのではなく、付属のACアダプタを使用する。バッテリーは搭載していない。

これらのことから分かるように、このプリンターはスマートフォンやタブレットには対応していない、PC専用の据え置き型プリンターである。

デバイスドライバは付属しておらず、取扱説明書(英文)に記載されているURL(https://www.cnfujun.com/d/38)からダウンロードするようになっている。

ダウンロードしたファイル(拡張子がrarの圧縮ファイル)を展開すると、Windows用、macOS用、Linux用のドライバなどが入っている。他に、SDK等も含まれているようだ。

Windows用には、ドライバの他に、本体設定のユーティリティ類も含まれている。ただ、結果を先に言うと、これらのユーティリティは使わなくてもプリンターの機能は使用できた。

Macではドライバーをインストールしないと、PostScriptプリンターとして認識されるが、この状態で印刷を行うと、PostScriptのコードがそのまま印刷されてしまい、あっという間に紙を使い果たすので注意が必要だ。

印刷してみる

とりあえず、Windows 11とmacOS Sequoiaにドライバをインストールして、プリンタを認識させる。PC側から見れば、用紙サイズが特殊なことを除けば、普通のプリンターと同じである。

Wordで印刷する場合、用紙設定で、幅を58mmに設定したうえで、右余白を0.5cm以上に設定しないと印刷時に毎回警告が出る。上・左・下の余白は0cmでもよいが、上余白は0.1cm以上にしないと先頭行の文字の上端が欠けるようだ。

Macの場合、テキストエディットやメモアプリから印刷すると、行間がばらばらになるなど不具合が見られた。Pages(Apple製のワープロソフト。Macなら無償でダウンロードして使用できる)から印刷すると、文字修飾を行うと印刷が途中で止まるなど、動作が安定しなかった。

で、結局何に使うのか

普通のレシート用感熱ロール紙を使って印刷しても、ただの紙なので、テプラ等の代わりにはならない。しかし、粘着タイプの感熱ロール紙を使えば、ラベルプリンターとして使えるのではないだろうか。

ということで、このプリンターで使えそうなものを探して、買ってみた。

しばらく色々と使ってみて、便利に感じたのが、ネットオークションやフリマで商品を発送する際に使用するバーコードラベルの印刷だった。

通常は、スマートフォンの画面にアプリでバーコードを表示させて、コンビニエンスストアの店頭などで読み取ってもらうのだが、それをあらかじめ印刷して商品に貼り付けておくのである。

こうすると、店頭でスマートフォンを出さなくていいし、事前に貼り付けておくことで、複数の商品を同時に発送する時の取り違いのリスクを軽減できそうだ。

ただし、「アプリで表示されるバーコード」には、表示後数分で失効するワンタイム(使い捨て)のものと、取引ごとに固定のものがあり、前者のタイプのバーコードでは、印刷して貼り付ける方法は使用できないので注意が必要だ。

動画

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