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[テクニカルコラム]デジタルHD放送をHDVテープに記録する

(2007.1.21)

BSデジタルHD放送・地上デジタルHD放送をHD解像度を維持しつつHDVテープに記録する手法について。

メリット・デメリット

メリット
  • 安価なDVテープにHD映像を保存できる。(ただし、録画・再生エラーを避けるためにはHDV対応を謳っているテープを使用した方がよい)
  • 現時点(2007年1月)ではHD DVDレコーダー・Blu-ray Discレコーダーを買うよりも安上がりになる。
  • アナログHDコンポーネント信号はコピーワンスの対象外であるため、キャプチャ後のファイルの扱いに制限がかからず、取り扱いやすい。
デメリット
  • 処理に時間がかかる(録画・キャプチャ(実時間)+エンコード(実時間の数倍)+書き戻し(実時間))
  • アナログ信号をキャプチャしたものをさらにエンコードするため画質が劣化する。そのため、HD DVDレコーダー・Blu-ray Discレコーダーでディスクに保存したものより画質が劣る。
  • 最終的な記録媒体がテープであるため、繰り返しの視聴には利便性・耐久性の面で向かない
  • 据え置き型のHDVレコーダー(デッキ)は業務用のものしかなく高価である。カムコーダーは安価に入手できるが据え置き型に比べテープの出し入れやモニターとの接続が面倒である。

使用機材・ソフト

ここで挙げたものは一例であり、備考にある条件を満たすものであればよい

機器 メーカー・製品 備考
チューナー 日本ビクター TU-MDS50 アナログHDコンポーネント出力があるもの。また、出力予約ができるか赤外線リモコンで操作できるもの。
キャプチャカード アースソフト PV3 アナログHDコンポーネントをキャプチャできるもの
変換ソフト 【パターン1】KENくん AviUtl
【パターン1】堀浩行 VFAPIConv
AVIファイルで出力できるキャプチャ機器を使用する場合は不要。
【パターン2】TMPGEnc 4.0 XPress + アップデータ(Ver.4.2.9.206)
編集・送出ソフト 【パターン1】ユーリードシステムズ MediaStudia Pro 8.0 AVIファイルを読み込み可能でHDVレコーダーに書き戻しができるソフト
【パターン2】カノープス EDIUS 3 for HDV AVIファイルを読み込み可能でHDVレコーダーに書き戻しができるソフト
HDVレコーダ ソニー HVR-A1J IEEE1394入力端子があるHDVレコーダー・カムコーダー
PC IEEE1394インターフェースを搭載し、上記の機器・ソフトが動作するもの

本稿では下記構成のPCを使用。
マザーボード:GIGABYTE GA-K8N51PVMT-9
CPU:AMD Athlon 64 X2 3800+(2.0 GHz)
メモリ:DDR400 SDRAM 1GB
HDD:Serial ATA 250GB

フロー図

工程 パターン1 パターン2
チューナー TU-MDS50 TU-MDS50
キャプチャ PV3 PV3
編集 AviUtl TMPGEnc 4.0 XPress
AVI化 VFAPIConv
エンコード MediaStudio Pro 8.0 TMPGEnc 4.0 XPress
HDV書き戻し MediaStudio Pro 8.0 EDIUS 3 for HDV
録画 HVR-A1J HVR-A1J

キャプチャ

TU-MDS50のD端子とPV3のD端子を接続する。TU-MDS50側はコンポーネント出力を1080i(画面上では「1125i」と表記されている)固定にしておく。両機の予約をそれぞれ行っておき、番組を録画する。

編集・CMカット

【パターン1】
キャプチャされたファイル(.dv)をAviUtlで読み込ませる。CMのカットなどを行い、編集プロジェクトファイル(.aup)を保存する。
【パターン2】
TMPGEnc 4.0 XPressを使用する場合はこの工程もTMPGEnc 4.0 XPressで行う。HDVテープに出力する際に先頭部分が欠落するため、タイムラインの先頭に10秒程度のダミー映像(カラーバーなど)を挿入しておく。タイムコードを入れていない生テープに出力する場合はタイムラインの末尾にもダミー映像を付けておく。TMPGEnc 4.0 XPressにはこのようなダミー映像を作成する機能は無いため、あらかじめ別のビデオ編集ソフトなどを使用して用意しておく。

AVIファイルへの変換

【パターン1】
VFAPIConvでAviUtlの編集プロジェクトファイルを読み込ませて、AVIファイルを作成する。この作業で作成されるAVIファイルは参照AVIであり、再生時には元の.dvファイルを読み込むため、全工程が終わるまで元の.dvファイルを削除・移動・改名してはならない。
【パターン2】
TMPGEnc 4.0 XPressを使用する場合はこの作業は必要ない。

MPEG2-TSへの変換

【パターン1】
MediaStudio Pro 8.0で、作成したAVIを読み込ませる。HDVテープに出力する際に先頭部分が欠落するため、タイムラインの先頭に10秒程度のダミー映像(カラーバーなど)を挿入しておく。タイムコードを入れていない生テープに出力する場合はタイムラインの末尾にもダミー映像を付けておく。メニューからファイル→作成→ビデオファイルを選択する。ファイル種別からMPEG、テンプレートからHDV 1080iを選択して.m2tファイルに保存する。使用環境にもよるがこの処理には実時間の数倍かかる。
【パターン2】
TMPGEnc 4.0 XPressでの編集後、「出力設定」画面に移り、「出力フォーマット選択」画面で「用途別出力テンプレート」から「HDV向けMPEGファイル」を選択する。「ビデオフォーマット」には「NTSC」、「エンコードモード」には「速度重視(高速)」か「画質重視(低速)」のいずれか、「フォーマットタイプ」にはHDV1080iのレコーダーを使用する場合は「HDV-HD2フォーマット」を、HDV720pのレコーダーを使用する場合は「HDV-HD1フォーマット」を選択して「選択」ボタンをクリックする。設定を確認して「エンコード」画面に移り、画面左下の「エンコード開始」ボタンをクリックしてエンコードを開始する。画質重視(低速)の場合、MediaStudio Pro 8よりもさらに時間がかかる。

HDVレコーダーへの録画

PCとHDVレコーダーをIEEE1394ケーブルで接続し、PCに認識させる。

【パターン1】
MediaStudio Pro 8.0で、メニューからファイル→エクスポート→DV録画を選択する。前の工程で作成した.m2tファイルを選択する。録画ボタンをクリックしてHDVレコーダーへの出力を開始する。MediaStudio Pro 8.0ではHDVの出力が時々途切れることがあった。
【パターン2】
EDIUS 3 for HDV本体とともにインストールされるMPEG TS Writerを起動して、ファイルリストに上の工程で作成した.m2tファイルを追加する。「設定」画面で、「記録開始から転送開始までの待ち時間」「転送終了から記録終了までの待ち時間」をミリ秒単位で設定する。「デバイスに記録する」ボタンをクリックしてHDVレコーダーへの出力を開始する。

なお、.m2tファイルはどちらのソフト(MediaStudio Pro 8.0、TMPGEnc 4.0 XPress)で作成したものでも、どちらのソフト(MediaStudio Pro 8.0、MPEG TS Writer)でも読み込めるため、パターン1・2を混在させた工程をとることも可能である。
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