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CHUWI LapBook Pro (第2世代) レビュー

コンピュータ

CHUWIの「LapBook Pro」(第2世代)を購入したので、そのレビュー。

CHUWIというメーカー

CHUWIというのは中国のPCメーカーで漢字では「馳為」と書く。公式サイトの日本語ページでは「ツーウェイ」と表記されているが、ネット上の記事や動画を見ると「チュウイ」「チューウィ」などと発音されることが多いようである。

製品の世代

今回購入したのは「LapBook Pro」という機種だが、この製品は当初「メモリ 4GB、ストレージ eMMC 64GB」というスペックで登場したが、その後のロットでは「メモリ 8GB、ストレージ SSD 256GB」にグレードアップしたようである。筆者が購入したのは後者のものであり、本稿では便宜上、前者を「第1世代」、後者を「第2世代」と呼ぶことにする。

今回はAmazonで購入した。CHUWIは日本にも参入しており、Amazonで「直営店」が販売している。ただ、今回は価格(キャッシュレス決済還元金)や納期の関係で、直営店ではなく、「正規販売店」を謳う「GBFT Online」から購入した。価格は、38,800円-キャッシュレス決済還元金1,940円=36,860円だった。

新型コロナウィルスの感染拡大を受けて、Amazonでも日用必需品、医療・衛生用品などを優先して配送することをアナウンスしているが、今回は、2020年4月16日(15日の深夜)に注文し、18日に発送されて19日の朝到着した。ネット上には「注文した翌日に届いた」という報告もあるので、多少影響を受けているのかもしれない。

梱包や同梱品

中国系通販サイトで購入すると、中国(あるいは他の国)からの国際貨物(EMSなど)になるため、白い袋や、ガムテームでぐるぐる巻きにされた段ボールに梱包された状態で届くことが多い(こちらの記事を参照)が、今回は当然ながら普通にAmazonの梱包で届いた。

外箱はナチュラルブラウンの厚紙で、透明フィルムでラミネートされていた。Appleの製品と同じような外装である。箱を開けると、ACアダプタの入った小箱が入っており、その奥に中空のスポンジに、不織布の袋に入った本体が差し込まれた状態で入っていた。

スポンジの外側のくぼみに、保証書、検査合格証、M2.SSD取り付け用のスペーサ、取扱説明書が入っていた。取扱説明書には日本語の記載もあった。

本体外観

底面には各国に認証に加えて日本の技適マークもついている。ただし、一緒に書かれているはずの「R」で始まる番号の刻印はなかった。最近は本体に直接刻印せず、画面表示でもよいことになっているので、省略されているのだろう。国内で販売されているPCでは背面にWindowsのプロダクトキーのシールが貼られていることが多いが、本製品では貼られていなかったが、PCのプロパティを見ると「Windowsはライセンス認証されています。」と表示されていた。

また、右下に2242および2280サイズに対応したM.2 SSDスロットがある。本製品ではすでに256GBのSSDが装着済みで、デバイスマネージャーでは「Netac SSD 256GB」と認識されていた。

天板にはロゴ類の刻印がない。同社の製品でも機種によって、角にロゴがついていたり、中央に光るロゴがついている製品もあるようだが、本製品では何もなく、その代わりディスプレイ下中央に「CHUWI」のロゴがある。

右側面にはUSB 3.0のType-A端子とイヤホンジャックがある。左側面にはUSB 3.0のType-C端子と充電状態を示すLED、マイクロHDMI端子がある。端子はこれだけである。

本体の開閉は非常に硬く、片方の手をキーボード側の角などにかけ、もう片方の手でディスプレイを持ち上げなければ開くことはできない。とは言え、きしむ・引っかかるということはなく、力さえ入れれば滑らかに開閉する。なお、この硬さは開閉だけでなく、各端子の抜き差しも同様であった。

MacBookにしても、それをモチーフにした他社製品でも縁は薄いものの、そこから中央に向けて丸みを帯びながら厚くなっていく物が多いが、本製品は底面もほぼ平坦である。ただし、ゴム足が高く(特に後ろの2つは高い)、その分製品全体の厚みが増してしまっている。

電源はUSB PD非対応

本製品は電源供給はType-C端子から行うが、USB PD(Power Delivery)には対応しておらず、12V×2A(24W)の単一電源であり、付属のACアダプタでしか充電できない。これは単に「ACアダプタ端子とUSB Type-Cポートが兼用になっているだけ」と考えた方がよいだろう。とはいえ、PDに対応していないだけで、USB Type-Cではあるので、周辺機器を使用することはできる。

USB PDは当初規格(1.0)では12Vに対応しており、現行規格(3.0)でもオプションで12Vをサポートすることは認められていて、実際に12Vの出力に対応している製品もある。しかし、USB PDの規格では給電側が受電側に供給できる電圧と電流の組み合わせ(これをPower Data Object(PDO)という)を通知し、受電側が希望するPDOを回答することで給電が始まる仕組みになっている。本製品はPDOの受信も回答もしないとみられ、この場合、従来通りの5V×0.5A(あるいは0.9A)でしか給電されないので、結局充電は行われない。

キーボード

本体の開閉と並んで、キーボードも「硬くて押しにくい」という評価も見られるが、私は特に硬いとは思わなかった。また、同社製品でもプラスチック筐体の機種では「中央付近のキーを強く押すと筐体がたわむ」という報告があるが、この製品は金属筐体のためそのような事象は見られなかった。

キーボードの打鍵音は静音で、MacBookのバタフライキーボードのようにペコペコ音がしないため、静かな場所での利用には向いている。

キーは金属製ではなくプラスチック製だが、バックライト付きになっており、FnキーとEscキーの同時押しで、消灯と点灯(強弱2段階)を切り替えられる。ただ、構造上、バックライトの光がキーの根元から漏れてしまうのが気になった。

本製品のキーボードは一般的なUS配列である。ただし、最右列にHome、End、PgUp、PgDnが縦に並んでいる。BackSpaceやEnterが右端でないと使いづらいという人には気になるだろう。

国内で販売されている低価格なノートPCではUS配列のキーボードを無理やり日本語化したために、俗にいう「変態配列」になっているものが見られるが、個人的にはそういうキーボードを使うくらいなら、素直にUS配列のまま使う方がいいと思う。

JIS配列とUS配列の、(記号の並び順などを除いた)大きな違いとしては、以下のようなものがある。

  • 「0」と「BackSpace」の間のキーがJIS配列の方が1つ多い。
  • 「P」の右のキーはUS配列の方が1つ多い。US配列ではJIS配列の「Enter」の上半分がない。
  • 「L」と「Enter」の間のキーがJIS配列の方が1つ多い。
  • 「M」と「右Shift」の間のキーがJIS配列の方が1つ多い。

つまり、差し引きするとJIS配列の方がUS配列よりキーが2つ多いことになる。

このような(ソフトウェアで吸収できない物理的な)違いがあるため、いわゆる「変態配列」では、たいてい「む」と「ろ」がしわ寄せを受ける形で変なところに配置されることになる。逆に言えば、きちんとJIS配列になっている製品というのはわざわざコストをかけて、ベースとなるUS配列にキーを追加しているわけであり、日本の消費者はその分のコストを負担させられていることになる。それを考えると、個人的にはそろそろJIS配列を捨てることを考えてもいい時期なのではないかと思う。

本当はPC-9800からDOS/Vに移行するときに、キーボードもJIS配列からUS配列に移行すればよかったのだろうが、IBMも日本ではJIS配列のキーボードを売っていたため、結局ハードウェアアーキテクチャは世界標準と同じになったものの、キーボード配列はJIS配列のまま現在に至っている。

もっとも、キーボードの配列は各国ごとに様々な配列があり、JIS配列だけがことさら「カラパゴス配列」なわけではないことも事実ではある。

タッチパッド

タッチパッドは横約11.5cm×縦約6cmのやや横長のものが搭載されている。このうち、右下を押すことで右クリックの扱いとなる。それ以外の部分を押すと左クリック扱いになるが、左下を押すよりも力がいるので、タップした方がよいだろう。

左パームレストの発熱は気になるレベル

充電している状態だと、特に処理をしていないアイドル状態でも、左のパームレストが熱を帯びる。触れないほどの温度ではないが、手を置いたままキーボードを打ち続けるのは辛いと感じるくらいの温度である。満充電になり、充電が止まると、AC接続した状態でも温度はほんのり温かい程度まで下がった。

Windows 10 Home 64bit版を搭載

電源を入れると、Windows 10が起動する。中華PCでは、起動後いきなりローカルユーザーでログインする状態で出荷されるものもあるが、本製品は普通に初期設定画面が表示された。

リカバリメディアは付属していないため、手持ちの16GBのUSBメモリを使って、回復ドライブを作成した。回復ドライブの作成中は常時USBメモリに書き込み続けるわけではなく、本体側だけの処理となる時間があり、初回はその間にUSBメモリへの電力供給が止まってしまったように見えたため、一度中断し、電源オプションで「USBのセレクティブサスペンド」を無効にした。USB 3.0対応をUSBメモリを使用したが、それでも回復ドライブの作成には3時間以上を要した。

ソフトウェアは独自のものは何も入っておらず、素のWindows 10である。回復ドライブの作成中からWindowsのアップデートがダウンロードされ、タスクとレイに再起動を促すアイコンが表示された。再起動を行うとさらに時間をかけてWindowsのアップデートが行われた。このように「買ってきてもすぐには使えない」のがWindowsのよくないところである。

おわりに

私は直近の数年間でPCの台数削減を進め、MacBook1台のみにまで減っていたが、ここのところBYODや在宅勤務などでその1台を使用する時間が増え、故障した時のことを考えると、1台しかないことのリスクを感じるようになっていた。

そこでサブ(予備)機として、低価格でそこそこのスペックのノートPCを探したのだが、「ネットブック」という製品カテゴリがなくなってしまったことで、製品の選択肢が少なくなり、国内で流通している低価格なものは「メモリは2ないしは4GB、ストレージはeMMCで32GB」しかないものが多く、それを上回るものは安くても5万円以上することがほとんどである。

一方で本製品は、メモリが8GB、ストレージがSSDで256GBありながら、3万円台で買えるという、国内製品の空白域を埋める製品となっている。日本のAmazonで取り扱われるようになったため、国内メーカーの製品を買うのと同じような感覚で買えるのも大きなポイントと言える。日系電機メーカーは徐々にPC市場から撤退しつつあり、今後これらの中国メーカーのPCが日本でも広く使われるようになるかのもしれない。

主な仕様

機種CHUWI LapBook Pro
CPUIntel Celeron N4100(1.1 – 2.4 GHz)
メモリ8GB
ビデオIntel UHD Graphics 600(オンボード)
ディスプレイ1920×1080ドット
サウンドRealtek High Definition Audio
ストレージ256GB(SSD)
FDD
BD/DVD/CD
通信Intel Dual Band Wireless-AC3165(オンボード)
入力デバイスタッチパッド
ソフトウェア環境OS Windows10 Home(x64)